スノモノモ

ミーハーでオタクな社畜が、生き辛い世の中をなんとか生き延びていくブログ

「退職の切り出し方」二ヶ月間悩んで言い出せなかった私が実践した方法

退職の意思は固まった!でもなかなか上司に言い出せない…。そんな状況でずるずると二ヶ月以上過ごしてきました、レンチです。

 

なんと、つい先日やっと上司に退職を切り出すことができました

長かった…!

f:id:renchis:20190509015942p:image

今日はそんな私がどうやって退職を切り出したのか、その方法を紹介します。

 

 

▼退職の意思を伝える為の上司のアポは、送信予約メールで取る!

これです。送信予約メール。普通のメールではないところがポイント!

なぜなら、口頭で声を掛けられなくても、メール送信ボタンを勇気すら出なくても、メール送信予約のボタンを押すことはできるから。

 

悩みに悩んで、メール送信予約という方法に至るまでの過程と送信予約の詳細について説明したいと思います。

 

 

▽直接声をかけるのはハードルが高い

まず、上司には口頭で退職したい旨を伝えなくてはいけない前提がありました。メールに「辞めます」と書いたり、電話で済ませないということです。

他の転職サイトなどにも同じように口頭で伝えるべきと書かれているかと思います。

 

ただ、パワハラやセクハラが酷い、暴力などがある状況であれば手段を選ばず逃げるべきです。今は退職代行などのサービスもあるし…。

 

が!今回の私の場合、上司や先輩との関係は良好でした。なので、最低限のマナーとして直接伝えて、退職時期の相談も含めて話がしたいと思っていました。

 

なので、メールで送る文章は「お話があるので時間を下さい」という内容のみです。

 

本当は直接声を掛けてアポを取りたかったのですが、緊張しすぎて無理でした。

考え方を変え、声をかけるタイミングを考え直し、上司と二人きりになる状況を作ったりなどしましたが、全て失敗に終わりました。

f:id:renchis:20190509020125p:image

一度失敗した方法は、気合や根性では改善されません。方法を変えるしかないと悟りました

 

 

▽電話でのアポは取れない状況

弊社の造りと仕事内容の都合上、小会議室に電話で呼び出して〜という方法も無理でした。

まず、小会議室なんてものはない。

 

また、どこかしら人のいない場所に呼び出すにしても、電話は事務所で共有されてるので上司以外にも内容がバレてしまうのです。

電話を使った方法は不可能に近い。

 

 

▽メールで呼び出そう!→送信ボタンが押せない

最終手段に考えたのが、メールでのアポ取りでした。

平社員に会社支給の携帯は無いので、プライベートのスマホから、会社支給の上司の個人携帯にメールを送信します。

もちろん、このような連絡の取り方は普段ほとんど無く、あるとしたら遠方出張時くらい。なので、メール送った時点で勘付かれるはずです。

 

というか、転職サイトにはよく「退職の話だと察せられないように呼び出そう」って書いてあるけど、「話があるので時間下さい」って言われたら誰でも察するよなと思う…。

 

下書きに何度も書き直しながらメールを作成します。

できた!あとはこれを明日の朝、始業前に送るだけ…!

 

…………

 

あああああああ!!!無理いいいい!!!送信ボタンが押せないいいい!!!(朝)

送信ボタンを押そうとして押せず、緊張が高まって気持ち悪くなり体調不良に陥りました。なんでやねん。

スマホを前にグロッキーになっている姿はなんとも滑稽。泣ける。

 

そんな日が数日間つづき、こりゃだめだと。他の方法を考えることに。

 

 

▽送信予約メールなら取り消せるし、送る練習をしよう!

ここまでくるともはやギャグですね。でも本人は真剣です。

夜、送信予約を明日の朝に設定し、メールを一度送信してみます。そしてすぐに取り消す

最初はすぐに取り消すのが分かっていてもドキドキしてましたが、何回か繰り返すうちになんとなく緊張が薄れていきました。

 

 

▽朝起きてまどろんでいるうちに送信されちゃう作戦決行

もうさすがに勝負を決めよう…GWで散々周りの人に後押ししてもらい、いい加減言わないと!と決意をさらに強固にします。(もはや決意の強固は信用ならない)

そして導き出した最強の作戦がこれです。

 

〜朝起きてまどろんでいるうちに送信されちゃう作戦〜

  1. 夜のうちにメールを作成
  2. 次の日の朝…起きて目が覚めきらない程度の時間帯に送信予約設定
  3. 寝る

 

目覚ましが鳴って10分後などに送信されるように送信予約設定します。

 

目覚めてから意識がハッキリしてくる時間帯に設定するのは駄目です。きっと送信取り消ししてしまうから。

また、起きる前の時間に送信予約するのも駄目です。不安で眠れなくなってしまうから。

ちゃんと起きれば万が一のときは送信取り消しが出来るという状況にします。

 

起床後すぐは無意識に脳が働いてる状態で、よく聞くライフハックとしてはこのときに「今日は良い一日だ!」とか言うと脳が勝手にそういう気分を作ってくれたりするらしいです。

退職の意思を固めた人なら、きっと無意識は「辞める!!!!」という思考で満たされているはず。

なので、無意識パワーを総動員して送信取り消しするのを阻止します。

 

 

実際私も送信予約当日は、最近は無かったのに中途覚醒何回もして夜中に何度も飛び起きました。

そして迎えた、朝。

 

あと10分で……あと5分で…送信されてしまう!ああ!取り消そうかな!いやだめだ!いや取り消そう!やだ!送る!やっぱり!

って、めちゃくちゃ葛藤してました。

f:id:renchis:20190509020009p:image

送信予約メール作戦のいい所は、「送信取り消しさえ阻止出来ればメールが送信されること」です。

送信ボタンを押すのは前向きな行動なのでハードルが高いです。しかし、送信取り消しは本来やらなくてもいい行動(?)なので欲求を押さえつけやすい気がします。

 

そして、送信取り消したい欲求を必死に押さえつけ、設定した時間を過ぎ…おそるおそる送信済ボックスを覗きます。

送信されてる〜!!!!

 

そこからはもう何も考えずに着替えて準備して出社。というかいつもギリギリに起きてるので悩んでたら遅刻です。

 

 

▽作戦決行後の流れ

会社に着き、こそっとスマホを覗くと上司から返信が。

 

「はい。都合の良いときに声かけて」

 

都合の良い時間教えて下さい!って送信してたので、暗に「上司から声かけて欲しいな…」って考えてました(甘ったれ)。痛恨のミス。

私から声掛けられないからメール作戦やったのに。やばい。

でもここまで来たら逃げられません。今日中に声かけるしかない

 

転職先が決まっていない私は、〆切が無いために言い出すのをズルズル先延ばしていたのでした。そこに突然発生した「今日中」という〆切。一気に追い込まれました。

 

何度も声を掛けようとして、時間は過ぎ、定時が過ぎ、さすがに仕事量に対して怪しまれる残業時間に突入…。

次に上司が立った瞬間に言おうと決意します。そして立ち上がる上司…皆がいるデスクから離れていった瞬間を狙って「あの、今いいですか」

察した上司、「あーはいはい」と言いつつ、静かに場所を移動。

 

そして人の居ない場所へ行き、ついに退職を切り出せたのでした。

上司と向き合った瞬間に、突然すみませんという謝罪と、実は退職を考えてます!って一気に言いました。

上司も、「メールが来た時点で察してたよ」と言っており、あまり驚かずに聞いてくれました。

 

いきなり声を掛けて大声で「えっ?なになに?」とか言われるより、メールで事前にお互い心の準備が出来ていたのでスムーズに話ができた。これはとても良かったです。

 

あと、上司と話しながら、言い出せた安堵感と、ゆっくり話を聞いてくれる上司への申し訳なさなどで感極まって泣きました。恥ずかしすぎる。

f:id:renchis:20190509020019p:image

 

▼まとめ

  • 退職を切り出す為のアポは送信予約メールで取る!
  • 送信予約取り消ししてしまわないように、無意識の力を借りる!
  • 事前にメールで退職を匂わせることで話がしやすくなる!

 

最後に、やっぱりメールを送っていたとはいえ声を掛けるのは本当に本当に勇気がいりました

この一言で人生が変わってしまうんだ、元には戻れないんだ、やっぱり私の選択は間違いなのではないか…恐怖でいっぱいです。

いざとなると一気に不安が押し寄せて、やっぱりもう一度考えよう…と弱気になってしまいます

 

でも、ここに至るまでには長い時間をかけて真剣に悩んで、人に話をして、決意を固めたのです。結局考え直しても、また同じ「辞める」決断に至るだけ

 

ならばあとは言うしかない。結局これなんですよね…。

で、私が一番腑に落ちた気合の入れ方は、

 

「歯ァ食いしばれ!!!!」

でした。

 

何じゃそりゃって思いますよね。私も思います。

運動部の人とかなら経験あるかもしれないんですけど、怒られて頭叩かれたり、めちゃきつい特訓メニュー課せられたりとか。そういうときに「歯ァ食いしばれやぁ!!!」って言われませんでしたか?

 

根性出すとか、気合入れるとかは抽象的でイメージしにくいですが、歯ァ食いしばれは、歯を食いしばれば良いんです。分かりやすい。

 

で、歯を食いしばる瞬間って一瞬なんです。

殴られる瞬間とかをイメージするとわかりやすいかと思います。(生身で殴られたことないけど、アクション映画とかボクシングとかでよくあるやつ)

 

退職を切り出すのも、一瞬です。

一瞬を乗り越えれば、あとは話をするだけ

 

歯ァ食いしばって、一瞬を乗り越えましょう。。

 

 

▼後記

退職を切り出せずに「退職 言えない」「退職 切り出し方」「退職 言った」などで日夜ググりまくっていました。たぶん検索で出てくる大体のサイトと退職エントリは読み尽くしたと思います。

 

結局最後は自分が言うか言わないか。どの記事もそんな結論に至っていました。

「私が知りたいのはそれじゃない!!」

 

根性論ではなく、少しでも言い出しやすくなる方法とか考え方を知りたかった。なのでこの記事を、一つの方法論として書いてみました。

現状を変えたくてもがいて、それでも踏み出せずにいる人…ちょっと前の自分を救ってあげるような記事にしたいと思いました。

誰かの一歩を踏み出すための参考になってくれたら嬉しいです。

 

 

あと、自分のことでいうと、直属の上司には言い出せたんですが、そのまた上の上司たちが待ち受けてます。

 

そして弊社の習わしではその方々とサシ飲みしたり飯行って腹を割って話をしなくてはいけないんです。どこもそんなもんかと思ってましたが、知り合いに話したらそんなの今どき無いよ!って笑われました。まじかよ。

 

なのでまだまだ先は長い…。色々な話に絆されたり、退職時期を引き伸ばされないように心を強く持って頑張ります。

 

でも、退職を言い出せたことによってやっと前を向けた気がします。何個か退職関連の記事は書きましたが、正直なところ退職した後のことを考える余裕は無かったです。ただただ休みたい。逃げ出したい。

でもやっと先のことを少し考えられるようになった。色々やってみないとなぁ!自分の人生、思いっきり生きてどうにか楽しんでいきたいです。他人の物差しの幸福ではなくて、自分の物差しの幸福を得たい。

 

がんばっていきましょう

家族に理解されなくて辛い!を解決するための考え方。家族は血の繋がった他人である!

f:id:renchis:20190421000302p:image

家族に自分が理解されなくて辛い!

学校の進路、うつ病など症状が見えにくい病気、挑戦してみたいこと……。勇気を出して家族に相談したのに、全く理解されずに否定されてしまうことがあります。

 

一番身近で、自分が生まれたときから一緒に居る家族。そんな家族に自分が理解されないというのは本当に苦痛です。私自身、辛い思いをしてきました。

そんな辛い状況下で前向きになれた一つの考え方が、【家族は血の繋がった他人】であるという考え方です。

 

 

家族は血の繋がった他人である

人間は、自分ではない誰かを完璧に理解することは不可能です。家族は血は繋がっていて、多くの時間を一緒に過ごしてきたかもしれません。

しかし、自分では無いのです。家族は血の繋がった他人です。

 

ましてや、中学校や高校に通いだしてからは家族と過ごす時間はどんどん少なくなっていきます。社会人ともなれば、親元を完全に離れて10年以上経っていることもあるでしょう。

いくら自分の幼少期を親がよく知っていても、学校で何を考えどんな人とどんな風に付き合ってきたのか。社会人になり、どんな思いで起床してどんな思いで満員電車に揺られてどんな人達とどんな風に働いているのか…これを完璧に理解してくれる他人なんてこの世に居ません。

 

家族はあなたの感情を完璧に把握しているのでしょうか?そんなことは絶対に不可能です。

家族は自分がこの世に生まれて一番最初に出会った他人です。誰も自分を分かってくれない社会の中で、家族にだけは自分を理解してほしい。

しかし、家族はただ血の繋がりがあるだけで、育ってきた環境も考え方も全く異なる他人に過ぎないのです。

 

 

自立できる環境にあるなら家族と距離を取ってみる

大学生や社会人で、もし収入的に自立できるのであれば一人暮らしをオススメします。

家賃がもったいない、収入はあるけど娯楽に回せるお金が無くなってしまう…などの葛藤があるかもしれません。私自身、実家に居られるのにわざわざ一人暮らしするのはもったいないなぁと思っていました。

 

しかし、実際に一人暮らしを始めてからは葛藤が吹き飛びました。

まず、家族と物理的に距離を置くことで、自分自身について深く考える時間が増えます。将来どうやって生きていきたいんだろう。自分は何がしたいんだろうと、家族の目を気にせずにゆっくり考える時間が増えます。

また、自立することで一人で生きていく自信に繋がります。家族に考えを反対されようが、私は生きていけるんだ!と実感が湧きます。

 

 

自分の人生は自分が決める

家族に理解されないからやりたいことを諦めるのか?家族に否定されたら自分の憂鬱感は治るのか?答えはNOです。

自分の人生は自分で決めていいです。それにともなう責任も全部自分で負います

私は、その覚悟を決めてやっと自分の人生を生きていると思えるようになりました。

 

家族に反対されたから…と夢を諦めてしまって、将来後悔したときに誰を恨むのか?きっと、家族に責任をなすりつけます。あの時、家族が反対したからいけなかったんだ!と。

誰かのせいにしていれば、自分は傷つきません。自分の責任でリスクを負うのは怖いです。しかし、自分で選択しなければそれは自分の人生ではなくなってしまいます

 

たとえ家族に受け入れられなくても、その選択が自分の熟考の果てなのであれば、自分でしっかり前を向くべきだと思います。

そして、自分の選択に関して、しっかり行動を起こし、その責任やリスクを負っている自分を褒めましょう。多くの人が他人に責任を擦り付けている中で、自分で行動できる人は本当に凄いのです。

 

 

家族への感謝はこの世に産んでくれたことくらいで良くない?

家族を無視するとは何事か!と怒る人がいます。でも、家族ってそんなに大切なんですか?ましてや、自分が家族の言動に傷ついて上手く生きられない時に、家族を大切にする必要があるんでしょうか?

家族への特別な思いは、この世に産んでくれてありがとうくらいでいいと思います。(群を抜いて大きすぎる思いではある…)

なぜなら、これは自分の両親(家族)にしか出来ないから。

 

小さい頃の自分を睡眠や身体を犠牲にして育ててくれました。生きる為に不可欠な食事をさせてくれました。事故や病気で死なないように一緒に居てくれました。学校に行かせてくれました。

でもこれ、血が繋がってなくても出来ることです。だから、家族だから感謝するのではなくて、一人一人の人間として、その行為に感謝すればいいと思います。

 

ものすごくドライな言い方をすれば、別に頼んでやってもらった訳じゃないです。親だって、何か見返りを求めてやった訳じゃないはずです。だからこそ、子供に対する愛情を「無償の愛」と呼んだりします。

恩知らずとか、裏切り者とか見損なったとか言われても、自分は自分。もし自分が親になったとしても、恩着せがましく子供を育てたくないですし、自分の期待を勝手に押し付けたりもしたくはありません。

 

 

まとめ

家族だから無視しちゃいけない。家族だから絶対に言うことは聞かなくてはいけないなんてことはないです。

だって、家族は血が繋がっただけの他人だから。

 

家族を大切にしたいという思いが強くて意見に従ったとして、ちょっとやそっとじゃ自分の思いが無くなることはありません。

そうやって自分を押し殺して生きた未来、きっと家族を恨んでしまいます。自分が家族を好きであればあるほど、家族を恨まないためにも自分で決断するべきです。

(家族と関係が悪い人はもっとドライに距離を取ってもいいと思います。自分は自分だ。)

 

 

後記

転職の話を親に打ち明けたら遠回しに「今の会社に残ったほうが良い」と言われて、悩んだ末に辿り着いた結論です。

そりゃ、私が精神科に通ったこともあるし、毎晩涙が止まらなくなったり、朝方に嘔吐してしまったり、会社でもトイレにこもって頭を抱えているなんて知らないですからしょうがないなとも思います。

もちろん、家族が私のことを想うからこそのアドバイスであることも分かります。友人や知り合いよりもきっと私のことを深く心配してくれていると思います。

幼少期もたくさんやりたい習い事をさせてくれて、大好きなディズニーランドにも連れて行ってくれて、大学まで行かせてもらった親には本当に感謝しています。社会人になったからこそ分かる…仕事から逃げずに家族の為に働いてしっかり稼ぐって本当に凄いことだ。

それでも、やっぱり私の限界は私にしか分からないし、私の人生は私のものなんですよね。

 

ここまで書いてあれですけど、やっぱり家族の言葉は影響が強いです。ラインの履歴を見ては、やっぱりそうなのかな…と再び悩んだりもします。

なので、まだちゃんと退職の意を伝えられていない私自身の背中を押す意味も含めて記事を書いたのでした。

総合職採用は本当に自身の成長に繋がるか?メリットとデメリット

総合職採用は様々な仕事を経験出来るから自身の成長に繋がる!…果たして本当でしょうか?

 

総合職採用について、学生の目線(過去の自分含め)と、実際に会社の内側から見る総合職って印象に差があるなと感じたので、今日は、【メーカー入社5年目社員が感じて考えた、総合職のメリットとデメリット】を記事にしてみます。




f:id:renchis:20190420002702j:image

 

まず、総合職とは

総合職とは、【企業で(昇進に限定のない)総合的業務にあたる職】です。

この記事では、総合職採用→適正を鑑みて各部署に配属(ジョブローテーション有り)というパターンにおいての総合職について書きます。

総合職採用の対として考えるのは、職種採用(営業、企画、研究職など)→ジョブローテーション無しのパターンです。

 

 

総合職のデメリット

○様々な職種を経験すること=器用貧乏になる

  • 10年間一貫して研究職に勤めた人
  • 5年間事務職その後5年間研究職に勤めた人

 

さて、もしあなたが研究職の中途採用担当者だとしたら、どちらの人材が欲しいでしょうか。

研究職の経験豊富な人材が欲しければ、迷わず前者の10年間一貫して研究職に勤めた人を採用するでしょう。

 

後者にも、事務職の経験を活かして研究職の業務を遂行できるという強みがあるかもしれません。

しかし、ほとんどの場合、直接的に研究職の業務や知識に役立つ事務職の仕事はありません。他の業種でも同じことが言えます。

 

ゲームにおいても、どのパラメータも中程度のユニットより、何か一つのパラメータが突出しているユニットの方が運用が考えやすいです。(そして大概のゲームで、オールマイティなユニットは終盤では使い物にならない)

 

もちろん、事務職10年×研究職10年の経歴であれば、研究職10年の人材に圧倒的に勝つことはできるでしょう。

しかし、一般的な企業ではそういった経歴は積めないと考えます。理由を次の項目に書きます。

 

○会社の都合でジョブローテーションさせられる

会社にも人事異動の都合があります。

役職者が退職したから空きができたとか、中堅が転職したとか、部署に新しい仕事を増やしたから人が足りないとか。

 

そこで起きるのが、希望しないジョブローテーションです。

表向きは、他の部署で経験を積ませていただくというモチベーションで辞令に従います。

しかし、本当にそれは自身の成長に繋がっているのでしょうか?

 

自身で、最初の10年間は事務職の経歴を積んで、次の10年間は研究職に…と考えていたとしても、会社の都合で全く関係ない部署に異動してしまう可能性があります。

 

もちろん、自分の中で意味を見出してキャリアを積めれば良いのですが、数年おきに頻繁に部署異動を繰り返す羽目になってしまうこともあります。そうなってしまうと、自分の中に蓄積されるものがほとんどありません

 

○人事異動1年目は、部署ルールを覚えるだけで終わる

全く違う部署に異動すれば、1からその部署のルールを覚える必要があります。

これは、業務には直接関係ないルールで、自分のスキルには結びつきません。しかし、会社で生きていくためには守らなければいけないルールです。

 

例えば、事務部ではデータは「日付、名前、ファイル名」で保存する。パソコンの使用は、指定の書式に指定の文言を書き申請するetc...

 

明文化されずに言い伝えられているルールも多く、徐々に新部署に慣れる→新しい仕事を任される→新ルールの発見という風に、ルールを覚えるだけでも膨大な時間を要します。

よって、部署異動が多くなることで、自分のスキルには結びつかない会社ルールを覚える機会が増え、自分のキャリアが圧迫されていくのです。

 

そして、自分の中にスキルが蓄積されないまま中年になります。

外部では通用しないレベルのスキルしか身に付いておらず、転職も出来ずに会社にしがみつかなければいけないという状況に陥ります。

 

総合職のメリット

散々デメリットを書きましたが、もちろんメリットもあります。

 

○出世しやすい

会社の都合で異動させられるとはいえ、しっかり仕事をこなしてある程度の評価を得ることができれば、出世コースに乗る事ができます

 

会社の役員は様々な部署を管理しなくてはいけません。

その中で、様々な部署をジョブローテーションで経験してきた社員は、その経験を活かして役員としての視点を持つことができます。

よって、職種採用の社員よりも、総合職採用の社員の方が社内でより上の役職を目指しやすいのです。

 

○様々な経験が出来る

デメリットと矛盾してしまうかもしれませんが、やはり様々な部署で多種多様な職種を経験できるというのはメリットでもあります。

 

例えば、事務職で効率化を計って多数の仕事を並行して進める方法を研究職に応用すれば、より多くの研究結果を得ることが出来るでしょう。

スケジュールの組み立てを行っていなかった研究部署に、事務職で用いていたスケジュール管理を適応して残業を減らすことができるかもしれません。

 

さらに多くの部署を経験すれば、様々な視点から物事を考えられるようになります。

これは悪く言えば器用貧乏ですが、良く言えば万能選手とも言えるのです。

 

○手厚い手当が貰える

総合職採用は上記項目で書いたように、未来の役員候補でもあります。

よって、初任給が高く設定されていたり、昇給の幅が大きいなどのメリットがあります。

雇用条件によっては、一般職採用や職種採用と比較して手当が増やされていることもあります。

 

 

まとめ

○転職や独立等を視野に入れるなら総合職は不利

上記のデメリットの数々から、もし今後、より良い待遇や働き方を求めて転職や独立などを視野に入れているなら総合職は不利だと考えます。

 

○会社で長く働くなら総合職がオススメ

逆に、入社した会社で長く働くつもり!役員を目指して出世したい!という考えであれば、総合職採用が絶対にオススメです。

 

 

 

自分の状況や考えと照らし合わせながらしっかり考えよう

私は総合職採用にあまり良い印象は持っていません。

なぜなら、会社の辞令で遠方に家族共々転勤せざるを得なくなった上司や、ある部署で楽しそうに働いていた先輩が違う部署に配属されて仕事が合わずに辛そうにしている姿などをたくさん見てしまったからです。

 

自分がどういうキャリアを積んでいきたいのか。自分はどんな働き方をしたいのか。

ただ総合職は安定しているから、という思考停止で判断するのではなく、しっかり自分の状況や働き方を考えて就職活動を進めて行きましょう。

野菜不足なサラリーマンは豆苗を育てるべき

約一週間でこんなに伸びるから!!!!
f:id:renchis:20190417012840j:image

 

 

【面倒臭がりの為の豆苗の育て方】

  1. 根本を残して切る
  2. 下の根部分が丸ごと入る容器に入れる(おすすめはジップロックMサイズ。上を2回程度折り返して根を丸ごと入れる。意外としっかり自立する。皿などだとヌルヌルがつくので洗浄が面倒臭いが、ジップロックはそのまま捨てられる為)
  3. 2日に一度程度水を継ぎ足す(水道水でOK。気になる人は毎日水を入れ替えてあげよう)
  4. 収穫→1に戻る

 

【注意点】

  1. 収穫は2回目くらいまでが限界。栄養がなくなるのか、2回目からは弱々しい豆苗しか生えてこなくなる。
  2. 太陽の光に向かって伸びるので場所を考える(上の写真は右側が窓の為、横に置いてあった物達がめちゃくちゃ侵食された)

 

水耕栽培で、室内なので虫も湧きにくいのでおすすめ。販売価格も安く、栄養価も高い。

調理方法は、適当に塩コショウで炒めるだけで美味しい。

 

さあ、豆苗栽培を始めよう。

社会人5年目、退職を決意した理由

入社1年目にして仕事内容に慣れることができず、休日に全く起き上がれない、涙が止まらなくなる、朝方に嘔吐するなど体に不調が現れ始めた。

2年目、体はもう限界で辞めようと思っていた矢先に部署異動があった。そこから2年程かけて体調はかなり良くなった…というよりは自分の体との付き合い方が分かってきた。

 

そして現在社会人5年目。退職の意思を固めた。

今まで散々同期と「辞めたい」と愚痴をこぼし合って酒を飲み、「まあ明日からまた頑張るか」などと毎日をやり過ごしてきた私が、なぜここに来て退職を具体的に考え始めたのか。理由を整理することで今後意志が揺れることのないようにしておこうと思う。


f:id:renchis:20190415224256j:image

目次

  • 未来に希望が見出だせなくなったから
  • やりたい(やってみたい)事ができたから
  • 死にゃあしないから
  • 友人が幸せを願ってくれているから

 

 

未来に希望が見出だせなくなったから

尊敬する先輩方は沢山いる。上司もとても優しく、よく転職関係の理由に挙げられる劣悪な人間関係は全く無い。本当に人に恵まれている環境だ。

しかし、私が先輩方や上司の様になりたいかと問われると、答えはNOだ。

休日を楽しみに平日5日間をただただ消費するのは嫌だ。役員の圧力でサビ残をするのは嫌だ。皆で集まれば会社の愚痴。嫌だ、嫌だ…。

 

もし結婚して子供を産むとなれば、今の環境はかなり良環境だ。

しかし、もはや会社の時間を生き延びるのに精一杯で、余暇はイラストやシナリオの勉強に充てる現状で結婚など微塵も考えられなくなった。逆に、全てを投げ捨てて婚活をして幸せな結婚生活(笑)を送ることもシミュレーションしてみたが、あまりにも自分に嘘を付きすぎていて苦しい。

ともなれば、もうこの会社にいる私に未来は無いのだ。

 

時代に合わせて働き方改革を掲げ、少しずつシステムが変わっていく弊社に希望を見出したこともあった。趣味との両立が満足に出来る日が来るのではないかと。

しかし、働き方改革を掲げる一方で、酒を飲んだ役員の口から出る本音は昭和のサラリーマン(昭和の方ごめんなさい)…会社に尽くしサビ残してナンボという思考。

ああ、この人達が居る限り変わるわけがない、と私の希望は打ち砕かれた。そして、この人達が居なくなるまで私の人生を消費する義理はない。

 

 

やりたい(やってみたい)事ができたから

去年の春にイラスト関係のプロアマが集うコミュニティに所属し始めた。

そして、去年の冬からシナリオ関連の勉強を始めた。そして、今年からイラストに関する通信講座を受け始めた。

今まで一人で自己満足に描いて(書いて)いたものが、他人に批評され感想が返ってくるという状況に、数年ぶりに胸が高鳴った。

 

もっとやってみたい。もっと上手くなりたい。もっと関わりたい。その為にこれらを仕事にしてみたい。

実績は無い。きっと、やる人間は仕事をやりながらでも結果を出す。でも私は出来ない。それを認めるしかない。

それでもやりたいのならば、それなりのリスクを取らなければいけないのではないだろうか。

破滅的な思考であるのは分かっている。それでも、今のままでは自分が耐えきれない。

 

死にゃあしないから

すぐには無くならない貯金がある。大きな借金は無い。持病も無い。アルバイトだってやろうと思えば何でも頑張れる気持ちがある。

今の会社を辞めることで優良な条件を逃すかもしれない。しかし、死にゃあしない。

現状維持のまま30代半ばになった姿を想像してみる。自分の人生に後悔して泣いて絶望して死んだように生きているだろうと思う。それならば死なない程度に堕ちても良い。もう、そこまで思っている。たくさん考えた。

 

 

友人が幸せを願ってくれているから

毎日毎日、一人で抱え込むにはしんどすぎて、「つらい」とツイートをしている。

そんな私のツイートを見て、幸せになって欲しいと言ってくれる人達がいる。長年のフォロワーさんも居るし、中学から付き合いのある友人、高校の友人、大学の友人…大切にしたいなぁと思う近くにいてくれる人達が幸せを願ってくれている…。

せめて、辛いとツイートする要因から離れたい。ちゃんと離れる事ができたよ、と報告したい。一時的でもいい、幸せだよと言いたい。言わねばならない。

 

 

 

 

 

以上。

あとは言うだけなんだよなぁ…

退職の意思を伝えられないんだよ。臆病者だよ。 - スノモノモ

仕事を辞めて何をするのか

仕事を辞めて、私は何をしたいのだろうか。


f:id:renchis:20190415020912j:image

 

とりあえず半年程度は体を休めたい。

一度壊れたメンタルが元に戻ることは無いだろうが、休むことでそれなりに調子の良いところまで持っていけるのではないかと予測している。

 

自己都合退職になるので、失業保険を受け取るまでの約3ヶ月間は無収入になる。

実家に戻れば家賃は浮く。しかし、実家に戻れば家族とコミュニケーションを取らざるを得なくなる。これは私にとってかなり精神的負担が大きいので実家に戻る予定は無い。

なので、家賃を含めて税金や食費を考えておそらく月に15万程度の出費が予想される。15×3=45万。貯金は少ないが、まあ3ヶ月を乗り越えることは出来そうだ。

 

さて、ここからが問題なのだ。体を休めて、その後私は何をしたいのだろうか。

クリエイティブな仕事に興味はあるが、何の実績も職歴もない人間がのうのうと生きていける世界ではないことぐらい分かる。ならば、実績を作っていかなくてはいけない。

 

ただ、ここ1年程プロアマが集うコミュニティに所属してみた感想としては、仕事を選ばなければ小遣い程度には稼げそうな気がしている。が、こういう場合には自分を大きく見積もる性質があるものだ。

おそらく、必死になってやっと時給度外視の案件に辿り着けるか着けないか…というレベルだろう。

今の仕事を続けながら実績を作ることも考えた。しかし、残業や出張が読めない中で締切を請け負うのは恐ろしいものだ。日々の仕事での精神的、肉体的な消耗も激しい。これは5年間続けてきて分かったことだ。適度に自分に合った仕事をしている人間よりも私は消耗しているようだと。

 

強制的に締切を作る為に、オンラインの講座を受講したこともある。環境が自分に与える影響はかなり大きく、しっかりと作品作りに取り組む事ができた。仕事をしながら平日と休日合わせて取り組むのは、なかなかに命を削る行為だった。

日を重ねるごとに時間を奪っていく仕事が憎くなるし、睡眠不足に陥ることでメンタルが崩壊。仕事中に涙が止まらなくなったり、仕事をうまく回せずに残業が増えた。

自分は不器用なのだから、現在の仕事と他のことを両立するのは無理なのだ。他人に、両立するくらいできないなら何しても無理だよと言われても、自分に出来ないものは出来ない。認めるしかない。

ならば選択肢は、現在の仕事を続けるか、仕事を辞めてクリエイティブ系に進むかしかない。

 

アニメ、イラスト、シナリオ、デザイン等に興味がある。

将来的には、自分のアイデアで生まれた物語で誰かに喜んでもらいたい。すぐにアマチュアのコンテンツを収益化するのは難しいだろう。そして、仕事を通して得るプレッシャーと物量は個人ではなかなか得ることができない。

期間を決めて、何かしら上記の業界に身を置くべきだと考えている。

物語で楽しんでもらうというとシナリオ関連だが、コンテンツが溢れる世の中でパッと目を引くことが出来るイラスト・アニメーションという技術は強い。

 

半年程度身を休め、その後にイラスト系の業界にどうにかして身を置き、傍らでシナリオを捻出しながら公開していくというプランを考えている。

どう考えても甘ちゃんなのだが、もはや今は仕事から逃げたいという頭で一杯だ…。もう一度、未来に絶望しないで希望を抱ける精神を取り戻したい。

 

今日は低気圧と日曜日の夜というダブルパンチで気が滅入っている。三十歳が数年後に迫っているが、物事を始めるのに遅いも早いもない…と信じたい。信じることでしか立っていられない。そんな感じで今日もギリギリ生き延びていく。

【映画ネタバレあり感想】グリーンブックを見たので、シナリオや演出について語ってみる



f:id:renchis:20190415073728j:image

こんばんは、レンチです。

 

 

前々から友人にオススメされていた映画、グリーンブックを見てきた。

https://gaga.ne.jp/greenbook/

 

まず、感想として、悪い点が無く、安定して万人が満足出来る映画だなと思った。映画館で見て良かったなぁと思える映画。

差別的な描写(映画のテーマでもあるので切り離せない)、仄めかす程度に同性愛の描写があるが、家族や恋人とじっくり見に行くのに適していると思える。

 

弱さを抱える二人が理解しあっていくというヒューマンドラマが好きなので、実話ベースとは言え、かなり色々考えさせられた。個人的には結構好きな映画。

 

 

関係性と人間の変化の描写が素晴らしい

簡潔な人物描写

主人公は、粗野な雇われドライバーのトニー。自分が上手く立ち回り金を得る為ならちょっとした悪事もいとわない。教養も無く、雑な生活を送っている。

冒頭からこのトニーの性格や生活の説明が、最低限のシーンで為されていて凄い。他人を買収して要人の帽子を自分の元へおいて置き、後程、金と信頼を得る。腕っぷしの強さ。ゴミ箱を漁る雑さ。牛乳を一気飲みし、足の裏を手で払ってベッドに潜り込む……そんな雑な生活の一方で、仲間からの信頼や家族愛も描かれ、ものの数分でトニーの環境や性格が伝わってくる。ああ、こいつは粗野だけど情に厚く家族思いな良いやつっぽいなと。そして、しっかりと黒人の使用したコップをゴミ箱に捨てるなど、根深い差別意識も持っていることが描写される、

 

そして、そんなトニーを雇うのは黒人でありながらも天才ピアニストのシャーリーだ。

まず、トニーがシャーリーのことを医者だと思いこむところから二人の世界の違いが面白く描かれる。

シャーリーの部屋には高価な置物が並び、部屋の中央に玉座のような豪華な椅子。本人は"ジャングルの王"の様な衣装を着ている。対してトニーはよれたシャツに中年太りの様相。トニーが色々気を使って話しかける内容も的を得ておらず滑稽である。

 

俺は召使じゃない、さらには給料上乗せを提示して帰宅するトニー。しかし、シャーリーはその条件を飲む。ここで、奥さんに電話で了解を得るところがまたシャーリーのキャラクター性を表していて良い。

 

その後、車に乗り込むときに絶対に荷物を運ぼうとしないトニーにもくすっと笑ってしまう。

 

 

魅力的なシーンの数々

車内でのやり取りも二人の関係性が繊細に描かれる。

トニーは家族のことを話している一方、シャーリーは孤独だ。トニーの手紙にも書かれているように、シャーリーは楽しそうじゃないのだ。

 

ツアー一回目の演奏が始まる。

斜に構えていたトニーは、シャーリーの演奏に思わずニヤリとしてしまう。妻への手紙にも、あいつは天才だと書いてしまう程に魅了されてしまう。

 

途中の出店で翡翠を盗むトニーと、それを咎めるシャーリー。シャーリーの清さと、粗野なトニーの対比がここでも効いてくる。

 

二回目の演奏では、ゴミが入っている上に種類の違うピアノを交換するように凄むトニー。トリオのメンバーが、何か問題を起こすんじゃないかとハラハラしている一方で、視聴者である私もハラハラしてしまった。しかし、トニーは自分の意思でシャーリーの演奏のセッティングを進める。関係性が一歩前進しているのだ。

観客が満足そうに演奏を聴く中で、その観客の表情をみて満足気なトニー。トニーがシャーリーに興味を持ち始めている。

 

特にこの映画で一番話題になるのが、フライドチキンのシーンではないだろうか。

フライドチキンを食べたことが無いというシャーリーに、無理矢理フライドチキンを勧めるトニー。(黒人奴隷の為の食事でもあるフライドチキンを食べたことがないシャーリーが、いかに黒人の文化から外れている存在かが分かるシーンでもある)(そして、黒人なのにフライドチキンを食べたことが無いのか!というトニーの潜在的差別意識も描写される)

トニーに、食べろ食べろと押し付けられ、毛布に脂が付くと拒否しつつも指先で上品に持ってチキンを齧るシャーリー。

骨はどうするんだと問えば、こうするんだよ!と窓から骨を投げるトニー。一緒に骨を投げ、思わず笑っているシャーリーとトニーに、視聴者も笑顔になってしまう。

そして、勢いのままに紙コップをポイ捨てするトニー。後部座席で愕然とするシャーリーの表情。……バックでコップまで戻り、「拾いなさい」と怒られゴミ拾いするトニー。ここで、ふふっと思わず声を出して笑ってしまった。

 

 

視聴者に想像させる人物の内面描写

南部に行くにつれて、差別が色濃くなっていく。

トニーとシャーリーの関係性が深まっていくほど、シャーリーへの差別が酷くなるという構図は心が痛む。

バーで飲んで袋叩きに会うシャーリー、YMCAで警察に捕らえられるシャーリー。どれも正当な理由は無く、差別意識によるものだ。

 

最初に出会ったときに、酒を毎晩用意してくれというシャーリーに、飲むのに付き合おうかとトニーが提案し、シャーリーは断る。しかし、後半では一緒に酒を飲みながらシャーリーは過去を曝け出す。関係性の変化が分かりやすい。

 

また、YMCAで捕らえられ、トニーが「俺に言ってくれれば」と言うと「今夜のことは知られたくなかった」というシャーリー。トニーとシャーリーの間にはまだ乗り越えるべき壁、乗り越えられない壁があることを突きつけられる。

 

そして物語は中盤後半。

黒人は夜に外出するなという理不尽な理由でIDの提出を求められるシャーリー。そして、警官の差別が自分に向けられて暴力を振るってしまうトニー。二人は牢に入れられてしまう。

シャーリーは差別にも耐えてこそ勝利だという強さを見せる。暴力は敗北だと語る。

そして、知事の電話によって助けられ一安心のトニーに対し、それを恥だと言うシャーリー。シャーリーが今までどれほどの理不尽な差別にさらされてきたのか、勝利のためにどれほど耐えてきたのかを想像させられる。

 

トニーは、自分より教養があり強く生きるシャーリーに対し、「自分はシャーリーより黒人らしく、シャーリーは自分より白人らしい」と言ってしまう。

トニーもトニーで、シャーリーとの対比の中で自分の存在が揺らいだ結果の弱音だったのだろう。俺は俺だ!と主張するトニーも、自信を失いかけていたのではないだろうか。この言葉には自虐こそあれど、シャーリーを侮辱する意図は無かったのだろう。

 

しかし、これまで、「黒人だから」というだけであまりにも酷い差別に苦しめられてきたシャーリーにとってこの言葉はさぞ辛かっただろうと想像できる。

自分の音楽を教養の為だけに消費する人々。舞台以外では白人から差別を受ける。

黒人からは、その態度や教養故に、気取っちゃってなどと怪訝な目を向けられてしまう。

 

自分は何なんだ!白人でもなく、黒人にもなりきれない、人間でもない自分はなんなんだ!と、冷静なシャーリーが初めて声を荒げる。

 

最後の演奏会では、レストランへの入場を拒否されてしまうシャーリー。トニーも穏便に済ませてツアーを成功させようとする。ここでも耐え忍ぶのだろうと視聴者が予測する中で、シャーリーは演奏を拒否する。

 

 

「勇気が人を変える」

「勇気が人を変える」というセリフは、トニーとシャーリーに対してではないかと私は思う。南部へのツアーによって、差別を変えることは結局できなかった。黒人からの冷たい視線も変わらなかった。

 

それでも、トニーという男たった一人だけでも、差別への意識は変わった。シャーリーは、トニーを通して、孤独を乗り越えた。確かに、変わったのだ。

 

 

 

そして、帰り道では再びパトカーに止められてしまう。

トニーやシャーリー、視聴者はきっと、ああまた難癖つけられてしまうのか……と思ったに違いない。しかし、警官はパンクを指摘し、メリークリスマスと言って二人の道中を案じてくれる。確かに、少しずつだが人々は変わっていくのかもしれないという希望が描かれる。

 

シャーリーのことを、シャーリー個人として受け入れたトニーという存在。

イブの夜に帰りたいと言うトニーの為、自ら車の運転をするシャーリーに思わず目頭が熱くなる。

 

家に着き、家族に会って行けよというトニーの誘いを断り一人の城に帰るシャーリー。空いた玉座には座らない。トニーとの旅で得た翡翠を眺める。

そして、ラストには自らトニーの元へ会いに行くのだ。

寂しいなら自分から先手を打たなきゃ、というトニーの言葉に答えられなかったシャーリーが、自ら孤独を脱するラスト。あまりにも愛おしい。

 

そして、トニーも家族に対して差別用語を口にするのを咎める。一緒になって黒人を馬鹿にしていた冒頭との対比となっている。

皆がトニーの書いたものだと思い込んでいた手紙を、シャーリーによるものだと見抜いていた妻。シャーリーの優しさに感謝を伝える。これも愛があって気持ちのいいラストだ。

 

上手ぇ~~~(感想)

全編を通して、シャーリーとトニーの対比が分かりやすく軽快に、それでいて問題提起もしっかりしている。冒頭とラストの人間性や関係性の変化も見事な描写である。それでいて、無駄なシーンはほとんど無い。長々しい飽きてしまうようなシーンも無い。

上手いなあと驚嘆してしまった。

 

 

緑色というキーカラー

ポスターでも目を引く美しい緑色の車。グリーンブックというタイトルとそのガイドブックの色と共に、全編を通して緑色が生かされている。

シャーリーとトニーが乗り込む車の色。そして、道中で手に入れる翡翠石の色も緑だ。

シャーリーが演奏を行う会場の壁紙もこの緑色と同じ色になっている。

そして、宿に泊まる二人を照らす、窓から差す街灯の色も緑色だ。

 

映画に統一感が出ていて、無意識のうちに刷り込まれている印象。映画に同じ色を効果的に使うのは手法の一つでもある。

 

 

トニー役のヴィゴ・モーテンセンロードオブザリングアラゴルン役と同一人物という驚き

トニーは中年太りのガサツで乱暴で下品なおっさんなのだ。それでいてずっとタバコを吸っている。

ロードオブザリングアラゴルンの面影も無い……俳優の役作りには毎回驚かされる。

 

 

まとめ

映画、グリーンブック。アクションなどのジャンルではないので映画館で無理してみなくてもいいかもしれない。

しかし、音楽も効果的で美しく、画も美しいのでぜひ映画館で見てほしい。

家で見てしまうとなんとなく気が散ってしまう中で、映画館で集中してみることで、シャーリーやトニーの複雑で繊細な心情をじっくり想像できるだろう。

2時間以上の上映時間なので長めに感じるが、内容的にはテンポも良く無駄なシーンが無いので満足度が高い。おすすめ出来る映画だ。